天才はこうして生まれた。

「申し渡す!会社でラッパを吹くことを禁止する」二週間前の話。
「禁止」だの「おまえはクビ」だのと、いつもおれはダメだしを申し渡されてばかり。
「ザ・不良社員」の面目躍如といったところ。
そりゃ毎日毎日、当たり障りのないバラードをチョロチョロと吹いてたらまだまだクレームもつかずに会社で練習できたのだろうけどさ。
時計の針は進んでいるのだよ明智君。
特に天才の時計は進みが速い。
すでにおらは「基地外、吉外、既知外音楽」に突入しているから、凡人が「うれせーぞ!このやろー!」と青筋たてるのも仕方ない。
『凡人との軋轢の中に天才は生まれ育つもの』
そして今日もまた、夜の帳に包まれながらラッパ片手にさまよふかな。