その四

で、やっと本題。
アーティストは、客が育てる。
ステージで歌う君に呼応し,
拳を突き上げ、揺れ、叫び、涙する客が、
君をのせてくれる、飛ばしてくれる。
それが「ライブ」。
音がライブする
歌がライブする
感情、感性、思いが、ライブする。
君は、客と一体となった汗まみれのライブを経験して、
それを原点にして高く舞い上がらなくてはならない。
今までは助走のようなもの、あくまでも、ライブがスタートだと思え。

椅子が整然とお行儀よく並ぶ地方のホールはライブしない。
だから兄からの話は断った。

俺からのメッセージはただ一言
「ライブせよ!!」
そして今後、どこまでも高く羽ばたくにせよ、歌い続ける限り、
客の体温を感じることのできるライブを原点にしなくてはならない。

椅子が整然とお行儀よく並ぶ地方のホールはライブしない。

いや、一人いる。
ニューヨーカーよりも手強い雪ん子たちを、
本当の意味で「ライブ」させることができるアーティストが、日本に一人いる。
およそジャズには縁がない雪ん子たち目がけて、
火を放ち一瞬にして虜にしてしまう、
ジャズピアニスト上原ひろみ
彼女の演奏は、喜びが身体全体からほとばしり、観ているものを熱くさせる。
雪が燃える演奏。

君は、ライブにより羽を得るだろう、
そしていずれは、雪を燃やす力を持つだろう。