縦ノリ、農耕、ミンガス、ドルフィー

日本人は縦ノリができない。
新宿ルイードで客を眺めていてあらためてわかった。
縦ノリの曲を聴いて体を上下させリズムをとることができない。
ただただ、ぼーっとつっ立っているその姿はまるでサボテン。
いやいや、よーく見ればリズムに合わせて小さくうなずいている。まるで鳩ポッポ。
俺は豆を探した。

「なぜ多くの日本人は縦にのれないか?」に、ずばり答えるわよ!
それは「農耕民族だから」です。
農耕は縦の運動、跳躍力を必要としない。俺たちが先祖代々やってきたのは地に足をつけた動作、耕す、種を蒔く、刈り取り、
それに比べて大陸の狩猟民族は、遠くの獲物を見つける、追い詰める、猛獣から逃げる、あらゆる場面で跳躍力、瞬発力を要求される。
狩猟民族は縦に、農耕民族はゆっくりと横に動く。
能や日本舞踊は畑仕事から生まれ、極限美として収穫された。

なんてことはどーでもいいけどさぁ。
なんとかならないかね、ノリの悪い客。
そりぁ、客数が少なかったし、のれないバンドも多々あった。のれない曲もあったさ。
けど、それぞれのお目当てのバンドが出てきて、ノレル曲で飛ばしまくったときでも、鳩ポッポとは、まったくまいった。
俺は、それじゃあんまりだと思ったんで机をバシバシ叩いてリズム刻んでやった。
サボテンと鳩ポッポ、こいつらにとっては、音もビートもどうでもいいんやね。
ただ、私だけのマイアイドルを見に来たんだから。
君たちは動物園に行きなさい、風太くんが待っている。
水族館に行きなさい、クリオネが待っている。←さらに古い
今、ライブハウスには音楽が不在なのか?

チャールズ・ミンガスが演奏をまったく聴こうとしない客に怒りまくったときに、エリック・ドルフィーがミンガスに囁いた
「ほら、あの柱のところに一人、耳を傾けている人がいます。さあ演奏を続けましょう。」と。
俺はこの話がたまらなく好きだ。