いい音ならメチャクチャやっても許される←たぶん

俺のサックスはエリック・ドルフィーオーネット・コールマンとの間を目指しているのであって、
決してアルバート・アイラーキャプテン・ビーフハートとの間では、ない、断じて!
それはあなたが、どう聞こえるかどうかに拘らずに、だ、だだだっ!
いい音ならメチャクチャやっても許される。
楽器を演奏していていつも思うのは、「俺はいい音を出してるんかい???」ということ。
自分の出している音ってよく聞こえない。
ラッパの場合アサガオは前向きに開いてるから、吹いている本人は自分の音の細部までわからない。
和太鼓を打っているときは、耳が太鼓に近すぎるために、
バンバンバシバシと皮を叩く音が聞こえるばかりで
太鼓の胴に響く太鼓本来の音がさっぱり聞こえてこない。
楽器演奏者は、己の音のトップリスナーではない。
すぐ前で聴く人が一番いい音を聴いている。
ただ例外があって、バイオリンなどの持ってあごに挟む弦楽器は、演奏者が一番のリスナーだ。
楽器→あご→聴覚器官と骨導音が伝わる。
骨導音は空間を伝わる音よりも周波数成分が減退されない。←たぶん
削られる前の生の音。
さらに骨を伝わる太い音と空間を通った音はスピードが違う。←たぶん
ほんのわずかな時間的ずれで別種の音を聞いている、
バイオリニストが恍惚に身をくねらせて弾く姿をお許しあれ。
奴らは、そうせずにはいられないほど最高の音を聴いているのだ。
歌い手さんも、同じ理由で、本人が一番のリスナー、最高の歌を聴いている。
俺がボーカルの友達に嫉妬するのは、彼女がうまく歌を歌えるからではなくて、
彼女だけが内に響く最もいかした歌声を聴くことができるから。
そして、彼女だけが彼女の歌声の軌跡を一曲も洩らさずに全て、聴いているから。
今までもこれからも。
まぁ、俺も俺の歌声を一曲も洩らさずに聞いてきたわけだが、、、
我が聴覚器官にただただ同情をするばかりで。