音楽史にその名を刻んだ9.3sunの朝

9.3sunは3チャンネルの「スーパーピアノレッスン」から始まった。
番組の終わりに先生のミッシェル・ダルベルトがシューベルトを弾いた。
音が、悩み苦しむ、
まるで不安に追い立てられ町をうろつくシューベルトのように。
音が、一筋の光を見つけたシューベルトと供に歩き始める。
やがて、音は喜びを歌う、踊る、
奏でているのは、曲ではなくて、
シューベルトの思い、感情であり情念であり、シューベルトその人そのものである。

作曲者の生きざまを深く理解し、共鳴する。
そして自身が、作曲者に成りきることによりり
「この曲のこの部分が、なぜこうなっているのか?」という膨大な「?」の全てを解読する。
そして、持てる技量の全てを使い、作曲者の「思い」を奏でる。
それは、シューベルトが弾くのと何ら変わることがなく、
モーツァルトが、ベートーベンが、チャイコフスキーが、
彼、ミッシェル・ダルベルトの手を借りて、歌い、踊る。

ミッシェル・ダルベルトは言う
「自分が、今、どこにいて、どこに行こうとしているのか?」
「弾く前からあなたの内で音楽がなっているのです」
彼が生徒に掛ける言葉の一つ一つは、いつも音楽の核心を突く。
彼が奏でる音は、生身の人間を語る。