AIのb

AIがビートの効いた歌を歌ったとき、みんなフラフラユラユラと右手を振っていた。
それはまさに「ボウフラの舞い」
いやいや「中秋の名月にススキが揺れている風情」ふうに見えなくなくもないことはない。
AIがバラードを歌えば、微かに揺れながらうっとりと聞き惚れている。
それはそれで大層気持ち悪い光景ではあるけれど、まぁ許そう。
AIが歌う詞を街行く若人100人に聴かせたら99人が共感する。
「一人じゃないから〜」とか「信じる〜」とか「友達〜」とか、
あらゆる悩みや苦しみを抱えている今時の若い連中、
そのほとんどに当てはまるような詞、ことば。
誰にでも届くメッセージソング。
それは今までのAIの最大のアピールポイントである。
と同時に、今後、乗り越えるべき壁でもあると思う。
AIは自分の個人的な体験を、
聴く者みんなに伝わるように、みなが共感するように、
極めて一般的な言葉を使い、歌っている。
その点では、浜崎あゆみとなんら変わることがない。
R&B、ヒップホップの人間がポップスをしてどうする?
AIにはもっともっと個人的な体験を、極めて個人的な言葉の感性で歌ってほしい。
かといって「二丁目の交差点から十七軒目で時々走って二分と十五秒…」(さだまさし
なんて「んなことっ知るかっ!」とツッコミ入れたくなるような歌詞も困りものだが。