柏崎の海に

車にバーベキュー道具を積み、ビールや肉を山ほど買い込み、
友達とバカ騒ぎしながら行った柏崎。
高校の頃、初めて付き合った彼女をバイクのけつに乗っけて向かった柏崎の番神海水浴場。
あの海に沈む夕日を、今でも覚えている。

柏崎の街が揺れて家が潰れ
命が失われた。

3年前の中越地震の時は、
有楽町の路上で太鼓叩いて募金を集め、
壊滅的被害を被った山古志村に送った。
つい3週間前には、能登半島地震チャリティーコンサートで太鼓を叩いたばかり。
音楽を通じて人の思いが集まり、それが形となり力となる。

有楽町の路上で一緒に演ってくださった三味線弾きは、
避難所に行き、疲れはてた被災者の中で三味線を爪弾いた。
みんな涙を流しながら聴いてくれたという。

音楽を演る者は、音を奏でることしかできない。
今日、家を失った人には、その音は届かないかもしれない。
昨日、子供を亡くした親にその音は聴こえないだろう。
2、3年、あるいは10年20年、それ以上の歳月がかかるのかわからないけど、
いつかきっと、涙が涸れる思いをした人の心に、その音は響く。

明日の明日まで、ずっとずっとどこまでも響くような音を