@コリアンタウンの夜、第二幕

職安通りから一歩細い路地に入ると、たちまちアパートが肩を並べる住宅街。
閑静と言われるようなそれではなく、少し耳を済ませば雑多な生活音が活気と猥雑さを伴って聞こえてくる。
こんなところにギャラリーがあるのか?
不安になりながら歩いていると、辺りとは明らかに違う異質な建物が見えた。
落書きだらけの外壁、
出入口がよくわからない構造の古いコクリートの建物。
そして「ギャラリーゲットー」の看板
ガッビーンっ( ̄▽ ̄;)。
ここは、さすがにヤバすぎるやろっ!
この落書きちっともポップじゃねーし、
出入り口がよくわかんねーのは敵からの襲撃に備えてか?
第一さ、廃墟を不法占拠してんやろここ。
とてもLove&Pieceな人たちがお茶を啜りながら囲碁将棋をやっているような場所には見えない、
が、それはそれで間違ってはいない。
「洒落にならんわウホホホホホ」
危険値の臨界点を越えた私は、いよいよハードボイルド路線の化けの皮が剥がれ落ちて
馬鹿笑い止まらない
「おかーちゃーん恐いよーコワイヨー、ここは悪の巣窟だよーウヒヒヒヒ!」と笑いながら、
単独でショッカーの秘密基地に潜入するあまりにも無謀なライダーマン
仮面ライダーの中で1番弱っちぃ奴で必ずショッカーに捕まってしまい仮面ライダーに助けてもらうハタ迷惑な奴)
の気分で私はシネシネ団の本部へ足を踏み入れた。
『ガァーッゴォゴォガコッガガーー』
「なんだ?なんだぁーっ?今の音は、体がビクついてしまったじゃねーか。
スケボーの練習場かよっ、驚かすんじゃねーやいっ!
バイクに乗った松田優作が日本刀で路面を削りながらやってきたのかと思ったぞ。
こんな狭い屋内に無理矢理スケボー場なんて作るなよ、それだけでオッカネーだろ」
脳内アドレナリン全開で言葉と意識の洪水にフラフラしながら通路を先に進む。
そうそう、この先を曲がるとド派手な化粧の娼婦がニヤニヤ笑いながら
「あら、ボーヤここは子供ランドの遊園地じゃないわよ」とか言うんだぜ絶対に
床には注射針が転がっててさ。
くそっ、ギャラリーとやらはどこだい?早くおいらに留めを刺してくれぃ。
ほらっ、いた!
娼婦の元締めっぽい御婦人がいらしたので恐る恐る尋ねてみた。
「あのギャラリーゲットーってどこですか?」
「あら、迷子の子猫ちゃん、ゲットーは二階よ」
おいらは、ロンドンのアンダーグランドで行方知れずになった恋人を捜す気の弱い大学生
という、よくある映画よろしくションベン2、3滴ちびりながらお二階へ…