@15、16、17と私の人生・・・。2ページ目

上野駅から快速アーバン高崎行きに乗る。
何がアーバンなのかさっぱりわからんが座れてよかった、寝て行こう。
が、しかしおいらが座ってる前に中年を少し過ぎたくらいのおばさまが立った。
「座ります?どーぞ!」と席を譲る。
吊り革に掴まりながらボンヤリと外を眺める。
いい天気だにゃー
頭カラッポぉー
するとドアを背にして立ってる女の子が何やらチラチラとぼくを見るではないか!
「そんなに僕はブラッドピットに似てるのか、カコイイ男は辛いなー」
などとお澄まし顔をしてみたけど、やはりいつもの大きな勘違いらしい
彼女の視線は大きくズレている。
どうやらぼくの斜め後ろの髪の長い女性を見ているっぽい。
彼女は長い髪の女性の後ろ姿をひとしきり見て
手に持ったノートに何やら書いている。
また見た、また書いた、また…、
ひょっとして彼女は絵を描いているのではないのか?
ははーん電車の車中で人物スケッチ!
おぉーもーしろいっ!
これぞ「ライブ」というものだ。
一生懸命スケッチする彼女を「何をやっとるんじゃ?」と怪訝な顔で見るおやじが一匹二匹。
摘んで外に放り出したくなったね。
彼女は、まさにリアルタイムライブアートの真っ只中じゃぞ!
邪魔するんじゃなーいっ!
電車が高崎駅に着きホームを歩く彼女に声をかけた。
「さっきスケッチしてたみたいだけど、絵を描くの好きなんですか?」
「あっ、はい」
「ライブペインティングに興味ありませんか?」
乗り換えた水上行きの上越線車中で、彼女に即興アートのこと音楽のこと美大に行ってる友達のことなどを熱く語ってお別れ。
掛け替えのない一期一会。
ぼくがたまたまローカル線に乗り、たまたまおばさまに席を譲って立ったら、たまたまスケッチしてる女の子を見つけ、たまたま同じ駅で降り、たまたま勇気を振り絞れて声をかけることができた。
たまたまたまたまたまたまたまたまたまたまが一つでも抜けてたら出会わなかった不思議
一期一会という宝物。

一期一会を大切にするぼくはもちろん、メアド交換済み
こんにちわ、はいさよならー、ではあまりにも切な過ぎるから。

人間万事 塞翁が只見線。。