@売れる喧嘩は売らなきゃ損々の十発目

売れる喧嘩は売っておいたほうがいい
いや、売らねばならないのだ。
挑発する、挑戦状を叩きつける、喧嘩を吹っかける
唐突に殴りかかる
などなど、どんどんどしどしやるがよい。
それは「身の程知らずで無謀な喧嘩」であればあるほど素晴らしいのである。
テラノサウルスに挑むクロコダイル、クロコダイルに挑むコモドオオトカゲコモドオオトカゲに挑むヤモリ、ヤモリに挑む殿様バッタ、殿様バッタに挑む蟻んこ、
くらいの無謀なドンキホーテたれ。
そしてボロ雑巾のように負けて、ドブに倒れ込み汚水を呑んでむせび泣くがいい。

ただし、リアル喧嘩の話でも格闘技の話でもなく、芸事でのお話し。

8日、太鼓の稽古をそそくさと抜け出しサックス奏者の田野城さんに会いに横浜に向かう。
22才の時、新潟をスピンアウトして流れついた地が横浜だった。
東京の兄のとこに泊めてもらいながら横浜でアパートを探してまわった。
兄から「なぜ東京でなくて横浜なのか?」と聞かれて「気持ちいい風が吹くんだ」と答えたのをふと思い出して苦笑い。
高校のクラスメイトで気になってた子が横浜で保母さんをやっているからというのが本当の理由。
照れ臭いので「いい風が…」などとテキトーに答えただけなのだ。
だいたい僕が「風が、雲が、空が」などと口走ってる時は気をつけたほうがいい
熱病に浮かされているか、拾い食いをして頭がイカれているかのどちらかである
京急線に乗り横浜に着いた。
記憶の中の横浜と今の横浜とのズレを楽しみながら歩く
が、
「まるズレ」である。まったく別の街。
これほどまでに街は変貌を遂げるものかと驚いたが、すぐにまるで見当違いの方向を歩いていることに気付いた。
記憶力の弱さと方向音痴とを両方合わせ持つ人間の「いつも新鮮な町並み」という哀しくて楽しい得意技である。