ダンス馬鹿

ダンス馬鹿。
おいらが音響をやらせてもらってるダンスシアターKプロジェクト、
そのプロデューサーであるKDANCEさんがソロで踊った「ダンス馬鹿!6」。
いつもKプロのダンサー11名で作っているいくつかのシーンを今回KDANCEさんがソロでやるというので
Kプロメンバーが何人も目を輝かせてやって来た。

光りが落ちて始まった、闇を裂く鳴き声
気味悪く生々しい鳴き声、神話に出て来る怪鳥なのか。
地上に舞い降りた怪鳥は手を激しく動かせながら舞台奥の脚立へと向かう
と、見ていたKプロメンバーは誰もが思っただろう
が、途中で怪鳥はあっけなくフレームアウトする
そして唐突にあのシーンが始まった。
やられた
ダークな音世界の中、怪鳥の気味悪い動きにぐんぐん引き込まれていく真っ只中で、容赦なくその世界をぶち壊してみせる。
見事に梯子を外された客はただただ唖然とするばかり。
そのシーンを知っているおいらでさえポカっとやられてしまったのだから、シーンを知らない人は一瞬もぬけの殻の木偶人形になったことだろう
なんだかとても愉快である。
ワインを呑んだ男の目は一秒ごとに虚ろになっていき加速度を増すKDANCEワールド。
怪鳥、お天気キャスター、ウェイターがカットアップ、ブレイクインアウトして畳み掛ける
三つの独立した世界が激しく見え隠れするのはパラレルワールドなのかもしれない、平行に存在して決して混じることのない三つの宇宙。
見ている者の視点はそのどれかに寄り付き何らかの意味を見出だしたいのだが、寄り付く暇を与えないで次から次へと世界が切り替わる。
どこまでも翻弄されるばかり。

ハーモニカを吹きながら旅する男
呼吸とともに徐々に速く力強くなっていくハーモニカの音、
その音には旅する男の魂がこもっていた。

このKDANCEソロはKプロジェクトが越えなくてはならないハードル。
KDANCEさんが三つ四つと全然別な世界を構築してみせた。
Kプロ11人が一人一つの世界をきっちり作り上げれば11もの世界が生まれる。
KDANCEさんがそれぞれのシーンでそれぞれのキャラで、針を振り切って見せたように
俺達は自分のキャラでシーンで針を振り切らねばならない。
音屋のおいらも単なる縁の下ではなくてシーンに踊りでるくらいの気持ちで臨まねばならない。
Kプロの28日のプレッシャーレベル2公演が楽しみになってきた。
スタンディングオベーションの嵐を避けるのが大変になるかもしれないな、オホホのほ。