@八まごめに置き土産の第五打

友達にメールした
「hロミがそっち着いたら連絡ください。今あいつ精神的に不安定なので注意してくれると助かる」
夜の8時を過ぎたころ暢気にワールドカップサッカーを見てたら友達から連絡があった。
「実はhロミから嘘をついてくれと頼まれた『けんくんから確認の電話がいくから今夜私のとこに泊まることにしといて』って」
ふむふむ、あの外でテンション高い電話をかけてた時点ですでにそんな依頼をしてたんかあいつは。
俺の行動は、まるっとお見通しってやつですか!
さすが俺より一枚も二枚も上手な女、なんて感心してる場合じゃないな。
元彼のところか男友達のとこに行ったのならそれはそれでいいんだが。。

hロミに電話する
出ない。
メールする
返信こない。
薬とリスカ以外での初めての未遂の直後の行方知れず
底抜けに脳天気な俺でもさすがに青くなった。
公園づたいに駅まで捜してみようと思い、一番近いとても小さな公園に行った。
救急車が止まってた。
慌てて飛びのったらhロミがベッドに寝てた。
すぐ横の心電図っぽいモニターが反応してたのでかなりホッとした。
鎮静剤みたいなので眠らされてるのかずいぶん穏やかな顔してる。
すぐに黒いジャンパーの男に「ちょっといいかな」と言われて救急車から降ろされた。
「警察の者だけど、あなた彼女の彼氏さん?」
「そうです一緒に暮らしてます」
「部屋を見せてくれないかな?」
刑事さんを連れて部屋に戻って夕方ここで自殺未遂したことを説明する。
鎖が切れて斜めってる電灯や遺書のメモ書きやらを見せながら。
何やってんだろ俺?と思いながら。
刑事さんそこらじゅうに走っているオーディオケーブルを見て「何本もあるんだね」とつぶやいてた。
部屋を出て公園に向かう。
歩きながら電話してた刑事さんが「彼女は大森赤十字病院に行ったので車で送っていくよ」という。
その顔が余りにも険しい表情だったので驚いて聞いた。
「大丈夫ですよね」
「厳しいかもしれない」
大森赤十字病院に着いた。
廊下で待っていると誰かがやってきて「残念ながら形式的な事後処置をしている最中だ」と言った。
また、誰かがやってきて「公園に電灯がなく暗かったので発見が遅れた」と言った。
また、誰かがやってきて「見つけた時はもう手遅れだった」と言った。
救急車ん中でなんかのモニターが反応してたじゃねーかよっ
叫びたかったが声なんかでてきやしねーし
息もできねーよ