さあ、次は君の番だよ!

「おれのぉー、縄張りをー、荒らすなぁー!!とっとと、うせろぉーーーー!!」
では、ないのですよー!

いつものように某埠頭でサックスを吹いてたんだ。
「今日は何だか、音のノリがええのおー」とバリバリ吹いていたさ。
んで、時計見たら9時過ぎてた。
おお、今日は4時間近く吹いてたなや、調子よかったべさ、そろそろ帰るべやと思いサックスをしまっていたさ。
ほしたらの、「ぶぉーーぶぉーー」と遠くから音が聞こえてきた。
チュウバだかトロンボーンだか大型のラッパの音が聞こえてきたんだ。
ロングトーンっていうか、単なる音出しっていうか、一音を伸ばし伸ばして「ぶぉーーぶぉーー」と。
それが結構ぎりぎりで、やっとこすっとこ音になっているくらいなもんで「ふうーーぶぉーー、ふうーーぶぉーー」と。
おらそれ聞いたら、なんだか応援したくなってね。
しまいかけたサックスを取り出して、「がんばれーよー」という熱い思いをこめて「パララピララペラペラピー」と思い切りでかい音で。

この寒空の下、吹きっさらしの夜の埠頭で、君一人じゃないんだよと。
さあ、僕と一緒に熱い夜を過ごそうとの思いを込めて、気狂いサックスをいつもより気違い度を増して「ブケピャララジャビレドシャデリャビー」と吹いたさ。
ひとしきり吹いた後「さあ、次は君の番だよ」と姿の見えない大型ラッパの音に耳を傾けたんだ。「さあ、こいやー、ぶおーーーーでも、ばおーーーでもいいぜ」と。

そしたら「しーーーーーーん」いついつまで待っても「しーーーーん」・・・・。

んん、あらあらあらーー練習をやめて帰ってしまわれたのね・・・。

おらの気狂いサックスは、
「おれのぉー、縄張りをー、荒らすなぁー!!とっとと、うせろぉーーーー!!」
では、ないのですよー!

「おーい、帰っておいでー、一緒にラッパ吹こうよーー!」

まぁいいっかぁー、今夜は久々にチャッピーに会えたことだし。
チャッピーの話は、またいずれ。