自分が死ぬ日時を決める。一月後の昼でも、二月後の夜でもいい、一年後の日没でも、五年後の夜明けの太陽とともにでもいい。正確な日時と時間を決めて紙に記す。その紙を目につくところに貼る。財布に入れて持ち歩く。自分が死ぬ日時を常に意識する。時々、逆算してみては「俺の命は、あと何日と何時間と何分限りなんだなぁ」と。死ぬ日時を決める以前と決めた後とを比べてみて、一口の味噌汁の味は変わったか?一吸い、一吐きの空気の味は変わったか?太陽の光は?山々の緑は?夜の冷気は?雨上がりの朝のやわらかさは?変わったか?変わらないのであれば、腕時計に自分の命のカウントダウンをセットし秒単位で減っていく命を眺める。生きているうち時間内にできることできないことを考える。それでも変わらないのであれば、死ぬ場所と方法を具体的に決め、道具などを揃えたり現場を下見したり。それでも変わらないのであれば日付入りの遺書を書く。一口の水の味は変わったか?自分の命の味は?