コルトレーン節

しばらく前、NHK教育トップランナーという番組にサックスプレーヤーの矢野沙織が出演してた。
最後に演奏したボヘミア・アフター・ダークはスピード感もありなかなかよかった、
のだが、もっともっと攻めて欲しかった。
フリーキーな音も「これでもかこれでもか」ともっともっと叫んで欲しかった。
トップランナー」のスタジオ御観覧の極めてお行儀の良いお客様の方々を捻り潰すくらいの気合いが欲しかった。
速くて複雑なフレーズを正確に吹くのを聴くと、ただ「うまいなぁ」と思うだけでおもしろくもなんともない。
完璧に制御されたリニヤモーターカーには、命が噴出してしまうようなスリルはない。
サックスはバンドの中で真っ先に暴走して見せなくてはならない狂気のリード楽器。
ただそつなくジャズラインの音階練習をしていてもね。
単純なペンタトニックを多用する「ペンタ君」でいい。
ペンタ君が螺旋を昇る様は、なかなか狂気スティックにイカれていて、素晴らしい。
いわゆるコルトレーン節。
時折、観客を置き去りにしたまま螺旋階段を駆け上がる。
ドルフィー節は、またいずれ。