革命的整理方

今までは「いる、いらない」で分けてきた。
そうすると「僅かな、いらない」と「膨大な、いる」とに分かれるばかりでエントロピーはほとんど増大しない
ということは、この部屋の歴史によって幾度となく実証されてきた。
そこで俺は本の革命的整理方法をあみだした。
百冊しか入らない本棚を用意する。
何回でも読み返したいと思うベスト100の本を選び、本棚にぴったりと収める。
溢れた四百冊はきれいさっぱり処分する。
今後、新しい本を買って読み終えたら、本棚の前に座り百冊の本と新しい本を眺めながら
「入れ替えるか?否や?どの本と入れ替えるか?どの本を処分するか?」を問い、決断する。
そうすれば常に我が部屋の本は百冊に収まる。
素晴らしい!
革命的書籍整理方、その名も「本の殿堂作戦」。
素晴らしすぎる!
このまま昇天してしまいそうだ!
殿堂入りした百冊は必要となれば即座に入れ替えられる。
本の殿堂は日々メンバーを充実させ、俺の頭脳と歩みを同じくしてレベルを一つ一つ上げていくのだ。
めでたく殿堂入りした本は
「今にも素晴らしい本が獲得されて俺が処分されるかもしれない」というプレッシャーを受けて
「負けてなるものか!」と奮起して、自ら物語や理論を書き替えるかもしれない。
超ひも理論は統一理論となり、ダークマターの謎はエーテルの存在を復活させ、
帝国陸軍風船爆弾は性能を高めて、ついにアメリカ本土を襲撃するのだ。
と、思いつつラッパを掴み逃げるように部屋を飛び出した。