ピラミッド最終章

ピラミッド館の片隅に、
オーナーが書いたという「四十年前のSF小説」という歌い文句のハードカバーの立派な本が、
たくさん山積み放置されて…、
もとい、特別価格100円で陳列展示販売されていた。
自費出版で作って、大量に売れ残ったでのであろう、たぶん四十年前から現在に至るまで。
小学生の頃、SFバカだったこの俺は、
表紙の昔チックな絵にとても懐かしい気になったけど、
ついに手にとることができなかった。
ふぇ〜ん(T_T)、おらこの本に魂を吸い取られるのが恐かっただよ〜、かあちゃ〜ん。
道を挟んだところに、プレハブ小屋に似せて作った劇場がある。
外観はとても劇場には見えない、
ここのオーナーはピラミッド以外のことについては、
とても奥床しくて、目立たないようにわざわざプレハブ小屋に似せて作ったのだろう。
外から物置き小屋とこの劇場の間違い探しをしたら、
誰も相違点を見つけられないだろう。
が、中に入ったら、ら、ららら、
真新しい畳がビシっと敷いてあり、その上には長テーブルがずらっ。
50人は座れる立派なお座敷、そしてその向こうの一段高いところには、
照明付きの美しい舞台がぁ〜っ!
さらに舞台裏には立派な楽屋までぇ〜っ!
ピラミッドやら偽ミッキーやらのセンスとはまったく別物の、機能美素晴らしい劇場。
思う存分太鼓を叩かせてもらいました。
「太鼓は響きますねぇ〜、もし大地震が起きた時、
避難場所で太鼓をドンドコ叩けば、みんな音を頼りに集まってくるんじゃないですか」
と俺たちの太鼓を見ていたオーナーが言う。
俺たちが、思いもしなかった太鼓活用法。
やっぱ一般人とはピントが違う。
センスも違うけど。
そんなオーナーのユニークな頭脳をそのまま形にしたのが
700円の瞑想パワールームであり、
特別価格100円のSF小説であり、
手作りミッキーであり、
巨大な黒ひげ危機一髪である。
那須「ピラミッド元気温泉」
素晴らしい
江戸の浮き世から離れた瞑想の旅には最適だ。
君たちも那須に行き、ピラミッドパワーを全身に浴びてきなさい。