天敵と戦い、ライバルと戦う

昨夜、真鍋かおりによく似たクラシックのサックス奏者と呑んだ。
バイオリン奏者の高嶋ちさこ似と同一人物だ。
美しい女性の外見は、12時間周期くらいでクルクル変わる。
俺の記憶は、1、2時間でコロコロ変わる。
彼女とは、某出会い系サイトで知り合った、、
わけではなくて、
俺の友達のTちゃんがサックスを教わっている先生。
俺、Tちゃん、俺の太鼓仲間でもあるTちゃんのかみさんMさん、
真鍋かおりちゃんの4人で、
Tちゃん行きつけの小料理屋のカウンター席に4人並んで座った。
Tちゃんは、根っからソニー・ロリンズ好き、
俺は、コルトレーンドルフィー路線。
二人の溝は、マリアナ海溝よりも深い。
いつも対立する。
ジャズに縁のない人から見たら、
きっと、ヒラメとカレイの内輪もめくらいにしか見えないだろう。
Tちゃんとかおりちゃんに挟まれた俺は、
右を向いて「Tちゃんロリンズ」VS「俺コルトレーンジャズ」を戦い、
左を向いては「かおりクラシック」VS「俺ジャズ」を戦う。
かつお、まぐろ、かわはぎ、イカの刺身、
あさりの酒蒸し、冷奴、生カキ、ブリ大根、じゃがバターを食らい、
戦う。
ビール、焼酎を飲み、
戦う。
Tちゃんの発表会や、かおりちゃんの出演の時は、ぜひ観に行かねばならない。
客席から睨み付けてやろう、サックスを握り締めながら。
かおりちゃんは帰り店は俺たち3人だけになった。
Tちゃんニコニコしながらテナーサックスを取り出して
「オーバーザレインボー」と「枯葉」を吹いた。
素晴らしかった、
演奏は、つっかえたり間違ったりだったけど、すごくいい音してた。
それに、人に聴いてもらうという勇気は、何よりも素晴らしいというものだ。
たとえそれが酔った勢いであろうとも。
カモメとネズミにしか、演奏を聴かせたことのない、どっかのサックス吹きとは全然違うのだ。
こうして我がライバルTちゃんは、晴れて人前デビューを果たしたのだった。
「さあ、キツネザル!お前はいつ動くのだ?
いつまで、そこでカモメを待っているんだ?」