プチ日和見

実はおいら、ここだけの話だけどアルトサックスの「レフト・アローン」を練習したりしている、極めて密かに。
もう一つおまけに「テイク・ファイブ」も、こそこそとしめやかに。
「さては、おまえ日和ったなっ!」
「いつもいつも
『カビの生えた人間が作った退屈な音楽なんてのは、俺さまがまとめてぶっ壊してやる!』などと叫び、
『フリーだ!カモメだ!キツネザルだ!』などと喚き散らしていたお前が、
ジャズバラードのど真ん中レフト・アローンと、
リスニングジャズのど真ん中テイク・ファイブを吹こうだって?
おまえの魂はいったいどこ行ったのさ?おいっ!」
などと責めないでけろけろ。
これには、一応理由があるのよ。
来月の6日に太鼓の師匠の還暦祝いパーティーがありやして、
そこで、余興に芸を披露しようなどと思い付いたはいいけれど、
太鼓の師匠にいつもの太鼓叩いて見せてもしゃーないし、
手品やモノマネなんてできない、
ならばここは奮起一発、我がアルトサックスに我が魂を吹き込んでみせ、
会場に感動の嵐、もしくは非難ゴォーゴォーの嵐を巻き起こそうというわけなのだ。
「ブーイング覚悟なら、いつもの高速疾走きつねざるでいいやん!」
とか「お前の魂は過去ジャズに込めることができるんかい?」
などと突っ込まれそうだが、
祝いの席だからさ、ガラスを擦るような狂った「音が苦」は、やっぱまずいかなと…、
それに、言ってみれば俺のデビューライブでもあるわけで…、
ラッパ人生の記念すべき第一歩に、皆さまから石をぶつけられるのは、さすがの俺も堪える…。
…うん、はい、リトル日和ました。リトルごめんなさい(>_<)。
たださ、いくらスタンダードとはいってもそこは俺、
今更マクリーンやデズモンドをまねて吹いても、俺史上もジャズ史上でもちっとも面白くないから、
ここは一発「躁鬱的レフトアローン純粋理性批判ダーティパンク偏」と
「五拍子は難しくて指が縺れて、あらやだあんた、どこ行くの?テイクファイブ狂人徘徊偏」
でいこうかな、と。
うーん、未熟者の言い訳にしか聞こえなくもないが…。
万が一アンコールがかかったらいよいよだ、
満を持して「マイ・フェイバリット・シングス循環呼吸奏法酸欠バージョン、
私はその時、土星に行きサンラアーケストラと一つになった偏」をかましてやる。
あっ、土星のサンラの前に火星に寄ってドルフィーとジャムらねば!