鳴きフクロウ

おいらのアルトサックスは、
ジャズサックス(ムーディじゃなくて尖んがったほうのジャズ)に特有の
あの旦那の浮気に切れた御婦人のヒステリーみたいな音、ではない。
また、世間様から3/2回転ほどひねくれた男の魂の叫びでもない。
おいらのアルトサックスは年老いたフクロウの溜め息みたいに、ホーホーフーフーと鳴く。
曖昧模糊としていて音に芯がない。
フルートの音に似ていなくもないが、だったらジェレミー・スタイグのそれのほうが遥かに過激な音である。
マウスピースをラバーからメタルに替えたら鋭い音が出るかもと思い、
あれやこれやと取っ替え引っ替え試していた時期もあった。
その試行錯誤も、プロサックス奏者のHPでおいらの楽器を
吹奏楽向きで、ジャズをやる人は買ってはいけない楽器」と紹介されているのを発見し、心が凍るまでの話。
今や、このモヤモヤとした軟弱な音は、
俺の生きざまからきているのだから致し方ないと諦めている。

なんて、人生を悟ったように見せかけておきながら、
今日久々のメタルマウスピースを持ってきた。
人間悟ったらそれで終いやで。