フリーセッションtake2

キーというものが未だによく解らない俺は、ベースの音を頼りに恐る恐る探り吹きから始める。
「私なーんにも解ってないです」ってのが人様にばれると、こっ恥ずかしいから、
自分だけにこっそり聞こえるような極小音で
「これかな?これかな?こりゃあかんわ!」と吹いては汗、吹いては涙。
そのいかにも音を探してますといった姿格好から「そりゃ、バレバレやろなぁ」と思いつつ(-.-;)
普段、カラオケ相手の一人練習では、ついぞ「当たり」を見つけられずに曲が終わってしまうこともあるのだ。
そんな時は「今日はカラオケの調子が悪いなぁ」と思うようにしているが、
今日は、ほんま者のミュージシャンとのセッション、絶体絶命四面楚歌。
死に物狂いで当たり音を探す耳、諦めきれずに脱出穴を探す目、制御不能に虚ろうだけの指。
「音を楽しむ」「大きな音を出す」という当初の二大目標なんぞ早々と砕け散り、
「果たして、このセッションに音で参加できるのか?」という根源的存在理由まで問われているしまつ。
半ば白目になりながら時計を見れば、針は止まっているかのよう…。
たしか、地球を直径3cmの大きさにまで圧縮すればブラックホールになるはずだ、
なんとか造れないものだろうか…。