フリーセッションtake3

楽譜わからんコードさっぱり、音がちゃんと出ない、指使いがわかってないetc…
というど素人が、
ミュージシャン相手に初めてのセッション、
自分で何をどう吹いているのかさっぱり解らんくらいやから、
もはや、キーが合っているかどうかの問題ではなくなっている。
冷や汗がポッタリポッタリと止めどなく落ちる。
ふと思いだした、なんかの本に書いてあったさ
「リズムさえ合っていれば、音程が間違っていたとしても、よくサウンドするものだ」と。
ふっふっふっ!案外俺は窮地に強い男なのかもしれない。
あるいは、窮鼠。
よし、リズムオンリー作戦でいこう!
意識してNさんのドラムを聞く、
ダンッと打ち音を止め、チキチキチキッと小さく刻みだす、
カッチョエェー、ゾクゾクくるー。
できればこのままずーっと聞いていたい、ラッパなんぞ下に置いてずっと…。
ギターのKさんがチューニングをわざと狂わして弾きはじめた。
デチューンという技らしい、とんでもなく強烈だ!
調性世界から意図的に「アウト」するのではなく、
また調性のアンチテーゼとしての「無調風」でもない。
何かから派生した混沌ではなく、全てと無接触に独立存在するカオス。
調性世界というのは言わば価値観が安定して、誰もがそれに沿って平々凡々と生きていける社会。
それが出現する以前の、あらゆる可能性が試され得る原始地球の生命スープのごとき混沌世界デチューン。
あぁ、今となっては遅すぎるけど、
Fのコードを押さえられずにギターを押し入れにいそいそとしまい込む中学生の俺に、
デチューンの技と世界観を教えてあげたかった…。