夏の終わり

白い雲をみていた
晴海埠頭の彼方に浮かぶ白い雲
青い空が遥か上空を覆う

舞踏の人やコンテンポラリーダンサーにぶつけたい問いがある
「何が楽しいのですか?」
言葉にすると何だかとても攻撃的な感じがして、いつも聞けないまま

白い雲は形を変えてゆく、とてもゆっくりと

音楽に合わせて踊るダンスは楽しい
リズムを体に感じメロディーを心に響かせ
ステップを刻み跳びはねる

「何が楽しいですか?」

夕日に照らされて雲は
薄いオレンジ色に染まっていく
影ができて立体感を増してゆく

「楽しいですか?」

青空をステージにして太陽の照明を浴びて、
ゆっくりと舞う雲
それは、ただそこにそのようにあるだけで
そのようにあり続けるだけで

オレンジ色に輝く雲は陰影をはっきりとさせ、
次第に存在感を増していく
そして、太陽が沈み
面積を縮め消えてった
「楽しいですか?」という言葉とともに消えていった

ラジオから知らない人の知らない歌が聞こえた
心とは別のところから涙が溢れた
初めて聴いた歌に涙するのはそんなに悪くないだろう
雲と空と太陽と、夏の終わり