@売れる喧嘩は売らなきゃ損々の三発目

タクシー運ちゃん怪我ないみたいだし眼鏡も壊れてないし警察沙汰にせずに丸くおさまろうよみんな。
おっちゃんが車のガラスをパンチし始めたゴンゴンゴンゴン。
ダメだこりゃ。
「痛いからやめたほうがいいよ」とぼくが間抜けなセリフで止めたら
「俺はボクシングやってたんだー」と吠えてまたゴンゴンゴン。
(なんだその割りには全然割れねーじゃねーか!)
ぼくは心の片隅で少し笑いながらまた「まーまーまー」と止める。
おっちゃんが大声をあげた「こいつは客の俺に対して暴言を吐いたんだ、金ならあるど!なめんなよ!土方をなめんなー!」
出たぁー!小説で読んだことがあったよーな、なかったよーなセリフ
「ドカタをなめるなよ」
リアルに聞いたのはこれが初めて。
ぼくはもう耐え切れずに大爆笑(心の中で)
おいらがドカタをやってたあの頃はお天道様の下で汗水垂らして働いて道を作ったり側溝をふせたりして、すごく誇らしい気持ちになったのだ。
現場近くのばぁちゃんが「暑いのにご苦労様です」なんて言いながら麦茶を出してくれたり。
ドカタはちっとも卑屈になるよーな仕事じゃねーぞ。
ドカタいなけりゃ道路もできん!
ガラガラーとすぐ前の家の玄関引き戸が開き、いつもお外でタバコを吸ってるホタル族のおじさんが、
あっ、
こっち見た
あっ、
目があった
そしてすぐさまドアをバタン閉められた。
あちゃー顔見られたよー
まるで俺が喧嘩しているような気分になるから不思議。