@有機野菜とカメラマン後編

さて、いのくら屋さんに太鼓を御披露せよ!とゆうわけでみなさん稽古場でドンドコと打ってるわけです
が、
Sちゃんと僕はすっかり仏像撮影会。
うちの師匠は、あー見えても禅宗の坊さんで家に不動尊を祭ってる。
骨董市で手に入れたという木彫りのお不動さんは大きくて黒光りしていて
ご近所さんにファンもいるという。
おやじギャグの一つも言わない木仏にファンがいて、
史上最高のジョークを言っては自分一人で笑っている僕にはファンがいないという理不尽さ。
悔しいので女性マイミク36人を勝手にぼくのファンとして数えたら
すぐさま某マイミクさんからクレームがきました
「私をファンとしてカウントするな」と。
なのでぼくのファンは一人減って35人(推定願望的に)
ま、バレンタインデーが近づくにつれてファンが激減してゆくのは毎年のことなので気にしません。
稽古場から景気よく太鼓の音がドンドコと聞こえる。
ここ仏間ではカメラのバシャバシャというシャッター音が続く。
師匠にお不動さんを撮らせてくれと頼んだら
「ぜひ撮ってくれどんどん撮ってくれ」と言われSちゃん目を輝かし「仏像を撮るの初めてなんです」と答えながら私に渡した一灯のライトスタンド。
「ぼくも初めてなんですぅ仏像撮影の照明係をするのわぁ」
いつのまにやら私は撮影アシスタントにされる。
光をあっちこっちから当ててジーッと静止して息を止めてたら、酸欠も手伝ってか厳かな気持ちになってきました。
撮り終えて稽古場に降りたのですがSちゃん、太鼓に見向きもせず今撮ったお不動さんをカメラの液晶で確認してる。
そして難しい顔して「もう一度撮ってきます」と言うから
「じゃ照明係も行ってきます」と、おいらも太鼓を抜け出す。
お不動さんの首から掛かっている数珠が少しだけ中心からズレていたのだ
ほんのちょっと。
プロはこの「ちょっとの失敗、ちょっとの欠陥」を見つける確かな目を持っている。
そしてそれを克服してよりよい作品に仕上げるという確かな腕を持っている。
確かと確かを掛けてよりよい作品が生まれていつもハッピーエンドになるかと言えば、そんなことはない。
完璧な作品あるいは完璧な技術が存在しない以上、欠点は何かしらあるものだ。
常に被写体から作品から「ちょっとの失敗、ちょっとの欠陥」を探し出し見つけてしまい無限ナーバススパイラルに陥るという写真家の職業病を
ダイアンアーバス病という。
難儀な病気だ。
結局彼は太鼓なんかそっちのけで不動尊を100枚以上も撮ってったw。