@今日の昼休みに屋上での壱

今日の話しなのだが…、
昼休みに食堂で仕出し弁当を食って担当場所に戻った。
ラジオからDJタロウのつまんねーミックスが流れてきたので電源をプチっと切り
さあさあお昼寝お昼寝と机に突っ伏したら携帯がブルブルと震えた。
「今から屋上に来て」経理のリタからのメール

「おぅおぅおぅ!やいやいやいっ!俺がなんの為に毎日毎日わざわざ往復二時間も電車に揺られて会社に来て、一日8時間も9時間も−25度の冷凍倉庫ん中で冷凍タコと格闘してると思うちょるんじゃべらんめぇ!
全てはこのお昼寝の為なんじゃい!この20分の昼寝の気持ちよさを得るが為に俺は毎日毎日10時間以上も辛い思いをなー」
などと、もちろん返信できる筈もなく、イソイソと屋上へ向かう。
屋上に出ると手摺りに体を預けてお台場やレインボーブリッジのほうを眺めているリタの後ろ姿が見えた。
上着くらい来てくればいいのに薄い制服のまま、寒そうに背中が丸まっていた。
おいらは防寒着を脱ぎながら気付かれないように静かに彼女に近寄った。そして彼女の背中にフワッと防寒着をかけてやった。
が、防寒着はそれなりに重くフワッっとはいかなかった、重みでリタの背中が一瞬沈んでたしw。
まぁいい、トレンディードラマじゃあるまいし現実なんてこんなものだ。

「あ、けんさんありがとー」
そう言えばおいらのことをけんさんと呼ぶのはこの子だけだなー、
他のみんなは、けんちゃんとかけんじくんとかだもんな
いつの日か彼女に「どうか、けんさんとは呼ばないでくれ、けんさんけんさんと呼ばれるとどうしても高倉の健さんが浮かんできて、なにやら背中で語らねばならないような気がしてしまうじゃないか」
と言わねばならない。
ぼくはリタと並んでレインボーブリッジを眺めながら
「どーしたん?またママがなんかやらかしたん?」と聞いた。