@BE−IN 三灯り

キャンドルを風から守る白い円筒形のケースに思い思いのメッセージを書き込んでいく。
ぼくは「Love&Love&Peace」と書こうと思いaイちゃんに「ピースの綴りってなんだっけ?」と聞いた。
彼女は首を傾げてわからなそう。
するとキャンドルケースを渡してくれたお兄さんが「地面に並べてあるキャンドルケースを大きく見てください」と言った。
なるほどでかく「PEACE」と並べてあった。
(ぼくはこの時少なからずホッとしたのだよ。だって何となく「PIECE」かなーと思っていたからね。なにせ中学一年で早々と英語を諦めた口なんでね。)
どうかピースがピースだけに留まらない世界が実現しますように。

円筒形のキャンドルケースにLoveを二つPeaceを一つ書いたぼくは、大きく綺麗に並べられているPEACEを少し広げて自分のを入れさせてもらった。
「aイちゃんはどこに並べる?」って聞いたら
「んー、じゃあ、私はこれで」と膝を曲げて蛙のように体を沈め、ピョンっと跳ねてケースをポーンと放り投げた。(彼女の頭の中にはまだケグリの蛙の曲が残っていたのだと思われる)
円筒形のケースが上手く立つはずもなくコロコロコロー。
aイちゃんそのまんまヒョイとどこかに行ってしまった。ぼくに「占いじゃないんだから」と突っ込む暇さえ与えずに。
「おーい!ちゃんと巨大なPEACEの中に入れておいたからなー」

夕暮れになり、みんなでピースマークの上にキャンドルを並べて64年間燃え続けている広島原爆の火を一つ一つに灯していく。
強い風が吹きキャンドルになかなか火が点かない。
こっちが点いたと思えば元の火が消えていたり。
みんなで「点いた、あっ消えた、点いた、消えた」とやってた。
そこでぼくが一言「この困難さがそのままイコール平和達成の大変さなのだよ」と。これはウケた、少しだけれど。

そしてついに世界平和ならぬ明治公園平和が達成されたのだった。
巨大なピースマークの出現。
ケースに守られているとはいえ、少しでも強い風が吹き込むと今にも消えそうになるくらい揺らぐ。
一つ一つはとてもはかなく小さな火。
千個集まって36メートルのどでかいピースサインをついに完成させた。