@土日は江戸に行ってきた 六日目 川越唐人揃い

パレードの往復が終わり蔵通りの入口近くでケグリの演奏が始まった。
客すげぇー多くて、すげぇーカメラも多くて、視線とレンズがずらりとランラン。
「ひるむな俺よ!客なんかカボチャだと思え!さあ一歩踏み出せ!踊るのだ!」
なーんてね
パレードですでにアドレナリンが出まくってるのでちっともビビりやしない。
むしろカボチャを前にして踊ったってしょーがねーじゃんみたいな(笑)。
大勢の人の視線にさらされてぼくは生まれ代わるんだ。

膝を折りしゃがみ込む、アスファルトをワサワサと撫で触りながら少しづつ進む。
顔をアスファルトにゆっくりと近づけていく、ゆっくりとゆっくりと。
いきなり空を見る
再びゆっくりとアスファルトに顔近づけていく。
そして、時間の流れを獲得した、自分だけの流れの速さを。

後はもう大丈夫、その場で生まれたものをそのまま踊るだけだ。
獣、農民、人間、祭り、一心不乱、一生懸命、狂喜乱舞、川越、唐人揃い、ケグリ、俺さま…
首をかしげて足を振り、手を回して右に跳び、眼を見開いてクルクル廻って、本当に目を回してしまい可笑しくて笑う。

Fァンさんが「けんじーっ!」と言ってみんなに紹介してくれて大きな拍手を戴いた。

終わってからいろんな人に声かけてもらった。
人の良さそうなおっちゃんが「よかったです。初期の歌舞伎を見ているようでした」と言ってくれた。
そのおっちゃんは初期の歌舞伎を見てるのだから、かれこれ200年くらいは生きていらっしゃるんだろうが、見たところ50歳くらいだった。
桁違いに元気な老人はいるものだ。

見るからに建設現場一筋35年の体が分厚いおっちゃんが満面の笑みで近づいてきて「お疲れーお疲れー疲れたろーお疲れー」とやたらと労をねぎらってくれた。
ぼくが「ありがとうございます」と答えて去ろうとしたら後ろからぼくの両肩をグワシっと掴み、「こってるなーお疲れお疲れー」と言いながら力任せにワシャワシャーと揉む。
痛い痛い痛い!肩こりよりもなによりもおっちゃんの握力化け物級!
別れ際にごつい手と握手をかわし満面の笑みで「お疲れお疲れ」と。

めちゃめちゃ嬉しかった。
推定200歳の長老と現場一筋35年とおぼしきおっちゃんに認められて。