３月１３日避難、３月１４日終了

３月１３日朝９時半
前日、家を出発するのが遅れて熱海の耐震偽装で一役有名になった●横インに泊まったＫムラがネットカフェに来て合流。
「榎本さん寝た？」と言われて「全然寝てない」と答える。
「少しでも寝たほうがいいよ」
確かにここ２日くらいろくに寝てないが、地震、津波、火事、余震、原発爆発、放射能のどこに眠りを誘うキーワードがあるのだろう
恐怖は三大欲求の全てを飛ばしかわりにアドレナリンを噴出させる。

午後２時半にネットカフェをでてポカポカと暖かい陽気と日常であり続ける静岡の街に救われながらｍホちゃんに電話した。「ｋョウちゃんとＹウゴを連れて早くこっちに逃げてこいよー」
初めは、水や食料を買い溜めして部屋の目張りをきっちりして東京に留まると言うてたｍホちゃんだが、夕方には子供２人連れて新幹線で名古屋の親戚のところに向かうと連絡があった。
勇気ある決断に思わずガッツポーズしてしまった。命と生活を天秤に掛けて生活を選ぶような阿呆どもに教えてあげたいぜ！

夜
お馴染みの駅前マックで携帯をフルにいじり事態の推移を注意深く見守る。
明日は仕事なので見極めが難しい。
いっそのこと今この瞬間に大爆発が起きて首都圏がパニックになっちまえば東京に戻らずに済むのにと、悪魔じみた考えかたをしてみたり。

ひとまず今夜は熱海まで戻ることにした。
Ｋムラは明日一日有給休暇で休めるので、この24時間中に事態が悪化した場合は熱海から田舎の大島へフェリーで帰ると言う。
「大島って距離たいして東京と変わらないじゃん大丈夫か？」と問うたら「大島も東京だぜ」といういつもの答えではなくて「実家は島の南側なのでなんとかなると思う」と返された。
そうな南風ばかり吹いてりゃきっと大丈夫さ生き残れるはずだ。
まてよ南東の風はやめてくれ、おいらの田舎の新潟がヤバくなる。と、頭をよぎったが、地震前日に病状が悪化して緊急入院したうちのお袋は、数年後のリスクよりも今日の危機を生きている真っ只中であるからして、原発事故に関してはある意味で無敵なのだ。
Ｋムラと東横インに泊まる。
男とホテルに泊まっても面白くともなんともない。テレビをつけると明日から輪番停電というものをするといってる。なんじゃそら？

３月１４日
朝５時前に起き、コンビニで雨合羽の上下と折り畳み傘とマスクを数枚買って駅に向かった。
事態がこう着状態なのでどうにもこうにも仕方ない、出勤するしかないと腹を括った。
駅に着いたら輪番停電の影響で東海道線が運行してないがな。
こうなったら会社休んでも言い訳がたつんでね？と括った腹を緩めたが、なぜか高い金を払って生まれて初めての新幹線出勤する私。自分の奴隷根性がほとほと嫌になるわ。
もしこれで東京に帰り原発がさらにドカンといき被曝したら、今朝の自分を一生恨みまくりだな。
ま、もしそうなればなったで恨む年月は短くてすみそうだわい。

朝8時半に仕事仲間をホームに招集した。
「ここ中央区は輪番停電の予定はないが、なにぶん初めての試みであるから混乱して間違い停電が起きるかもしれない。また、余震もまだまだ続いているので、停電しても安全を確保できるように各冷凍倉庫の扉が手動で開くかを朝一で確認すること。倉には必ずライトを持って入ること。なるべくエレベーターは使わないこと。」と偉そうにみんなにのたわってみたよ。（201103111446の教訓）
普段なにもやらない副班長ですが、やる時はやりますよ。
なにせこちとら被曝覚悟で熱海から新幹線出勤してきてまんねん、言いたいことはきっちり言わせてもらいまっせ！

そして、運命の午前１１時０１分
プルサーマルでMOX燃料であの愛くるしいプルトくんが多勢いる三号機が爆発、黒煙をあげる。
ははは、仕事終わるまでまだまだ軽く６時間あるわ
６時間後の午後５時なんてパニックの真っ只中やろな
そうなったらわし、もう逃げれませんて。
むーん…。
たいして可愛くもない同僚を捨てて今すぐ西へ逃げるかい？
むーん…。

ははは、結末は見事に予想どおりだな
俺おわたorz

追記5月30日
まさかいくらなんでも「三号機爆発は一号機と同じでただの水素爆発だから大丈夫だ」なんていう政府の発表を信じてる馬鹿はいないだろな
http://www.youtube.com/watch?v=1Q3ljfLvHww&feature=related